このような「脳神経の種類と働き」の疑問をこの記事では解説します。
私は大阪を中心に女性限定で自宅出張スタイルでパーソナルトレーニングを実施するトレーナーのtakです。
脳科学の研究が世界中で盛んに行なわれたお陰で、情報をインプットしたものをアウトプットする機器や個人情報が漏洩しないようなセキュリティシステム、または個人情報が保護された上での便利なネット環境などに貢献しています。
脳の中のさまざまな機能が行なわれる働きを知ると複雑に見える人間の感性と知性の磨き方が分かります。
私はあなたのように脳神経に種類と働きに20年前に興味を持ち、そこから取りつかれたように脳神経の知識を得てきたので、関心を持って知りたくなる気持ちが本当によく分かります。
しかし、脳神経を知るためには、ただ一部の働きだけを知ったとしても、何も見えてこないため、脳神経の種類と働きを全体的に見ていくと、驚くほど自分の磨き方や感情や欲求のコントロールがしやすくなるのです。
この記事では、12種類の脳神経を1つ1つ見ていき、分かりやすく専門知識を分解して、あなたの人生にプラスになるような考え方の応用ができる内容です。
日常生活で当たり前に活動させている脳神経がどの行為で機能し、脳神経が何らかの原因で病気になり機能が破綻したときに起きる症状まで見ていけます。
私は脳神経を含めた脳科学の研究をしてきたパーソナルトレーナーですので、あなたの脳の神経ネットワークを活動的にさせられる文章構成で書いていますので、最後までストレスなく見ていけます。
では、最後までお付き合いくださいね。
この記事を読んで分かること
- 脳神経は脳幹を起始核を持つ頭蓋骨外に向かう神経
- 脳神経は左右に12対存在し運動神経・感覚神経・副交感神経の役割がある
- 脳神経は脊髄神経から独立した位置にあって保護されている
脳の中にある神経はどんな仕組みで働いているのかを知りたい(悩み)
脳の中の神経の仕組みを知ることは、自分の人生のさまざまな出来事を脳内の神経が受け入れて行動に変えたものだと自分に気づくために欠かせない学習です。
脳の中の神経は、身体から入ってきた情報を知覚しまとめる部位と脳内に入る情報を受ける部位とが存在しています。
私も常に感じていますが、脳の中は科学の研究の恩恵によって鮮明に脳の内部まで見える高度な機器が開発され、脳の中の神経がどのような働きがあるのかが分かってきているのは、興味深いものです。
脳科学を初めて書物で読んだときの衝撃は今でも思い出されます。
脳科学を知るまでは、心に重きを置き、心を軸にしたパーソナルトレーニングを実施していました。
でも、脳で感情がコントロールされていると分かって、心の中に偽装で作られる精神世界の存在を見直すことにしまいした。
この記事では、感情よりも原始的作用である脳神経の話をします。
では、脳の中はどのような神経の種類があって、それらが働くのはどのような刺激によってなのでしょうか?
まず最初に、脳神経の全体像を構造面から空から街を眺めるようにマクロ目線で手がかりを見つけていきましょう。
ヒトの脳も含めて脊髄を構造として持つ脊柱動物は、脳は体節の中でどこの位置にありますか?
ヒトでは足元、他の脊柱動物では尻尾(しっぽ)に対して反対側の先端に脳は位置しています。
ヒトは二足直立姿勢を遺伝子が進化させましたので、重力下の抗重力姿勢で立っている姿勢や座っている姿勢を取ってもらえると分かります。
頭が身体の中心に位置する体幹よりも上位にあります。
なぜ、頭の位置を確認してもらったかと言うと、地球上の生き物は構造が示している通り見ると、理由が分かるからです。
つまり、脳は体節でいう体幹より上位にあるのは、ヒトという遺伝子がもたらす脳神経の機能とマッチしているんです。
脳神経が脳内から神経線維を伸ばしている理由は構造にアリ
脳は建物でいえば、最上階や屋上のフロアだと想像してください。
体節の一番上位に位置する脳神経は、最も神経線維を介して伝達される現状を記した情報が受けやすいのです。
脳神経を理解するためにスマホを例えにしてみましょう。
脳神経はスマホの電源を入れた後のLINEやメール、ネットを調べるなどの画面操作でのシステム。
脳神経が作動できる前提は心臓や肺が血液を運搬する運動が起きていること。スマホでは、充電するために挿す充電器のコード。
脳神経が受精卵から胚子に胎児期に発達したときに、絶対になくせない条件は胚に生命システムが受けているかでした。
要は、脳神経が存在し作動するには、心臓や肺が前提に運動しておくことです。
心臓や肺は身体の中心の胸部付近に位置しているので、脳神経は優先的に位置を譲り、その分一番頂点に発達してからと言えます。
一番頂点に位置する遺伝子情報が作られたために、ヒトは大脳皮質の量が多く、知的な思考や作業ができるようになったのです。
では、脳神経が枝を出してる脳内よりの下位に位置する中枢神経の脊髄について触れておきます。
中枢神経とは?:脳と脊髄
末梢神経とは?:脳神経・脊髄神経
中枢神経は脳と脊髄の細胞の塊を現すと医学的に区別されています。
脳と脊髄から枝を出す神経線維と末梢神経といいます。
中枢神経である脊髄の働きを簡単に見ておきます。
脊髄では白血球という免疫物質の生成や皮膚や筋肉などの末梢器官に枝を伸ばす神経線維があります。
脊髄は脳神経が頭蓋から外に出た神経線維を一旦経由してそこから新しい神経細胞に変わり担当する効果器に向かいます。
脳神経が独立し、外界から受ける情報に誤差がないように、脳から遠い部位に伸ばす神経線維は脊髄を経由しているのです。
脳細胞の上には頭蓋骨という表面はとても硬い素材で構成された骨と、表面のすぐに下には脳脊髄液が流れる硬膜があり、粘弾性を粘膜に持たせているため、とてもクッション性のある素材で構成されています。
この構造が意味するところでは、頭蓋骨が硬いのは脳細胞が外傷によって外圧が加わっても脳細胞が傷つかないようにするためです。
そのすぐ下が硬膜で柔らかく作られているのは、その内部を髄液や血液などが通れる構造となっており、脳細胞と下方にある脊髄との連携が取りやすくさせるためだからです。
脳細胞はこのように、脳細胞が損傷すれば生きるために維持させなければいけない生命システムの運営を硬い骨を覆い保護しているのと、硬膜から全身の細胞に髄液や血液を流し、栄養を絶えず送るためなのです。
このような脳の環境で脳神経はその脳の内部に存在します。
脳神経は、脳幹と言われる脊髄のすぐ上位の頭蓋内が起点で、認知、注意、知性などの総合的で高次的な人生の概念を作り連合させていく大脳皮質にはありません。
脳幹は生命システムを維持する心臓の絶え間ない作動の合図を送る覚醒を高める脳の部位です。
この脳幹と少し上の中脳という部位から脳神経は出ています。
脳神経は中脳と脳幹の1つの脳神経を除いてはすべて腹側というお腹側から起始します。
お腹側から脳神経が出ている理由は、ヒトが受精卵だった時期に胚子で内側で発達していたからです。
脳神経が発達してきた胚子は外胚葉という名前ですが、受精卵から時間が経っていき、外胚葉は最終的に腹側だった内側から脳神経に発達してきました。
中脳や脳幹の腹側とは、 後頭部側が背側といいますので、その内側の腹側というのは、耳の穴のちょうどまっすぐ奥にあります。
その部位に、脳神経が神経線維の起点が存在して、12個の役割を果たせるように各細胞に枝を伸ばして、運動や感覚、自律神経情報を伝えているのです。
脳は脊髄神経とは違う脳だけに独立した脳神経が存在する(解説)
脳は脊髄神経とは違う脳だけに独立した脳神経が存在しています。
脳神経には、神経線維が脳に入っていく求心性線維、脳から出ていく遠心性線維があります。
脳からの入出以外にも、身体に神経を伸ばす体性感覚と内臓に神経を伸ばす内臓感覚に分けられます。
脳神経は左右12対存在し、身体の情報をやり取りする体性感覚と内臓の感覚をやり取りする内臓感覚や末梢器官を運動させることだけを行なう運動神経、あと自律神経の副交感神経とやり取りする脳神経があります。
脳神経の中には、運動、感覚、副交感神経の3つとやり取りをする働きがある神経線維もあります。
運動神経は、末梢器官を運動させるための働きを持ちます。
末梢器官とは、中枢神経である脳と脊髄以外のすべての組織。皮膚、筋肉、内蔵、ホルモン分泌する腺などです。
脳神経のうち、運動神経のみを行なう神経を見てみましょう。
例えば、第4脳神経の滑車神経は、単独で運動神経の働きをします。
滑車神経には、感覚を受ける神経や副交感神経を作動させる神経の働きは持っていません。
滑車神経は眼球の運動に関わっている上斜筋(じょうしゃきん)を運動させる脳神経です。
眼球に関わっているので、当然視神経も働かないといけないので、第2脳神経の視神経も働きます。
視神経は外界空間情報と光刺激を眼球の網膜の受容器を興奮させ、脳内の後頭葉という大脳皮質に情報を伝達します。
滑車神経は上斜筋の独立した運動神経となっているので、眼球が動くときに滑車神経は興奮します。
滑車神経は感覚を知覚したり、副交感神経に対応する腺を活性化したりはしませんし、できません。
次に、感覚神経だけの働きを持つ脳神経を見てみましょう。
感覚神経とは、身体や頭蓋内の神経の源の神経核より遠い部位にある器官から情報を受ける神経線維です。
脳神経のうち感覚神経を単独とする神経に、第1脳神経の嗅神経があります。
嗅神経は運動神経や副交感神経の働きの神経線維は持っていません。
つまり、空気中に浮遊する匂いの情報を知覚して脳に伝達します。
感覚神経は脳に情報が伝達されると、脳細胞が記憶するさまざま情報を照合したり、処理した後に消失します。
空気中に識別できる匂いがなければ、興奮せず反応しません。
要は、神経活動がまったくない状態となります。
感覚神経は感覚が反応するだけの情報量があるときに反応してくれる神経線維なのです。
最後に、運動神経、感覚神経、副交感神経の3つの働きを持つ脳神経があります。
運動神経や感覚神経だけの神経線維より優れてると言えます。
3つの働きを持つ脳神経の特徴は、神経線維の距離が長いことです。
代表的な3つの働きを持つ脳神経として、迷走神経(めいそうしんけい)と言われる神経線維があります。
迷走神経は、脳幹の延髄という神経の源の核が集まっている細胞群から始まります。
延髄から始まった迷走神経は、近い部位では頭部や頚部、少し離れる部位では胸部や腹部まで神経線維を延ばします。
迷走神経には消化器である胃腸の情報を知覚できる感覚神経の働きもあります。
胃酸が分泌し過ぎて、胃壁が炎症が起きているとしましょう。
迷走神経は、このとき胃の情報を脳に感覚神経として伝達します。
炎症が起きると血管は収縮して胃の筋肉が収縮します。この働きも迷走神経の運動神経線維が行ないます。
そして、迷走神経で副交感神経に向かう神経伝達をする働きでは、消化管、気管の平滑筋や腺、あとは心筋を作動させます。
消化管は食道から直腸にかけて食物を消化吸収する機能を持つ器官。
あなたが口から食物を摂取すると、迷走神経が反応し興奮。食物が消化管を通過すると共に消化管が反応します。
平滑筋というのは、意識的に動かせる随意筋とは違う、カルシウムイオンなどで反応する無意識的な運動を行なう構造です。
平滑筋と同じ筋肉ですが、あなたの中で1番馴染みがある筋肉は、手足に付着する筋肉ですよね。
誰もが知っている手足の筋肉は自分の意思で運動できるため、随意筋と言います。
随意筋は関節と関節を近づけたり遠ざけたりする筋肉は、筋節という筋繊維の間のタンパク質のつなぎ目が存在します。
この筋節が存在することで、筋肉を短くしたり、長くしたりできます。
一方、消化管の筋肉である平滑筋は、筋節が存在せず、ホルモンや神経伝達物質などの体液バランスの反応によってで収縮と弛緩します。
つまり、消化管は迷走神経が脳と直接情報交換して、収縮できるのです。
このように、脳神経の働きには、運動神経、感覚神経、副交感神経があります。
次の章で具体的に脳神経の各神経を具体的に見ていきます。
脊髄は遠い部位からの情報が乱れないように経由していることを知っておいてください。
脳神経の働き:運動神経・感覚神経・自律神経(副交感神経)
遠くの末梢器官とやり取りする神経は脊髄で新しい神経細胞を介します。
このとき、脊髄では情報を修飾することはありません。
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脳神経の働きは組織と直接情報交換するために独立させている(理由)
脳神経は無意識的に反応しコントロールできるように、余計な情報を入れないように神経線維の役割を明確にさせています。
日常動作を実現する運動は大脳皮質の運動野、運動前野、補足運動野から脊髄の前角に神経伝達をします。
脳神経はこのような運動には関与せず、もっと生命活動に直接対応する器官の情報交換に集中させています。
前章で書きましたように、脳神経にも運動に関係する神経線維がありました。
この脳神経の運動神経は、目と舌だけに限定しています。
脳神経は脳幹に起始部を持っているので、目や舌は頭蓋内の器官をターゲットとしています。
手足の筋肉を運動させる神経活動とは全然違います。
脳神経の運動神経が目や舌の運動とはとても微調整な運動です。
第5脳神経である眼球運動をコントロールする外転神経と言われる神経があります。
眼球運動を促して運動できる最大可動域は、約23度。
第12脳神経の舌下神経は、舌を動かす純粋な運動神経です。
舌下神経が舌を運動させる可動域は、舌を口から外に出したり引っ込めたりするぐらいで約5cmほどです。
脳神経が働くこれらの運動神経が障害によって機能しなくなると、眼球で外界の対象物を追えなくなります。
道を歩いていると歩行者、自転車、車など速度のある対象物が多いです。
外転神経に機能低下が起きると、これらの速度のある対象物が見えにく状態です。
対象物を知覚できるから認知が作動し注意力が働けるので、事故の確率や他者との衝突の確率も高くなります。
舌も舌下神経が障害になると、無意識に食物が口腔内に入ったときに舌は小さな運動を行ないます。
その舌の運動がやりにくくなると、食物を嚥下に送り出すリズムが崩れます。
もともと無意識に舌は口腔内の環境に自然に運動できていました。
それができないのは、食物行為がかなりストレスとなってしまいます。
脳神経の運動神経と手足を運動させる大脳皮質から出力される運動神経との違いを見てきました。
脳神経の運動神経は食事行為や眼球運動に伴う生きるために絶対に必要な情報交換に対応しています。
大脳皮質から運動を実行させる機能の運動神経は脊髄で修飾作用があります。
片麻痺(かたまひ)と言われる脳梗塞が発症した後に見られる身体症状は、脊髄の前角という大脳皮質運動野から下りてきた情報に誤差が出ると言われます。
この作用が脊髄の修飾する反応で、脊髄が大脳皮質運動野からの情報には関与しています。
だから、脳梗塞という脳内の障害なのに、脊髄と筋肉との間の不具合が出てしまいます。
それと比べて、脳神経の運動神経は脊髄が修飾作用がありません。
このような働きから脳神経は脊髄と違い、独立した機能を持っています。
その理由は、生命活動に関わる末梢器官の働きをしているからです。
では、次の章で脳神経の種類と働きを脳神経1つ1つ見ていきましょう。
脳神経の種類や働きを構造的に見る(説明)
脳神経は左右12対の種類と5種類の神経線維、3種類の型があります。
脳神経は中脳を起始とする脳神経を第1脳神経、脊髄に近い延髄の下方の脳神経を第12脳神経と数字をつけています。
脳幹を断面で見ると内側と外側で体性感覚、内臓感覚の神経核が中心に平行に並んでいるのが特徴です。
脳神経は12種類あります。
- 嗅神経(Ⅰ)
- 視神経(Ⅱ)
- 動眼神経(Ⅲ)
- 滑車神経(Ⅳ)
- 三叉神経(Ⅴ)
- 外転神経(Ⅵ)
- 顔面神経(Ⅶ)
- 内耳神経(Ⅷ)
- 舌咽神経(Ⅸ)
- 迷走神経(Ⅹ)
- 副神経(Ⅺ)
- 舌下神経(Ⅻ)
5種類の神経線維のタイプがあります。
- 一般体性求心性神経(GSA)
- 特殊内臓求心性神経(SVA)
- 特殊体性求心性神経(SSA)
- 一般内臓求心性神経(GVA)
- 一般内臓遠心性神経(GVE)
脳神経には3種類の型があります。
- 運動神経
- 感覚神経
- 自律神経(主に副交感神経)
脳神経の数字は前述しました通り、上位に位置する中脳に起始部がある嗅神経が第1です。
延髄の1番下側の舌下神経が第12と明示しています。
第10脳神経は上位から10番目の構造にある脳神経という意味です。
5種類の脳神経のタイプは、一般か特殊かに区別されているのと体性と内臓、求心性と遠心性をミックスさせる表現をします。
まず、一般と特殊の違いは、脳神経が伸びていく反応を与える効果器で決まります。
一般器官か特殊器官かの違いは、一般は特定の器官ではなくその部位全体的な反応を与えます。
外から感覚器が特定できず、限定的でないのが一般です。
例えば、皮膚、筋肉、腱、関節などが一般となります。
特殊とは、視覚や聴覚などの特定の効果器の反応を特殊感覚と言っています。
耳の内耳に神経が伸び神経反応するのは、特殊と言われます。
次に体性と内臓ですが、体性感覚は、皮膚感覚、深部感覚、内臓感覚をさします。
内臓とは、体性感覚が表層で全体的なものとする反面、目には効果器が見えない器官を対象の神経を言っています。
体性感覚の皮膚感覚は皮膚上にある受容器が反応する感覚。
深部感覚は、皮膚や粘膜の表面より深い部位の感覚です。
深部感覚の例として、運動感覚、位置感覚、振動感覚、重量感覚などです。
深部感覚は姿勢コントロールを学習するときに、高める感覚となっています。
内臓感覚は、主に消化管の収縮や弛緩で生まれる感覚です。
求心性と遠心性では、脳神経の起始部に遠くの効果器から入ってくる神経を求心性、脳神経から出力され、脳より遠くの効果器に近づいていく神経を遠心性といいます。
この3つの区別を組み合わせて脳神経のタイプがすぐに理解できる表現をしています。
一般体性求心性の脳神経は、一般ですから身体に位置する全体的な効果器、体性ですから皮膚感覚、深部感覚、内臓感覚、求心性ですから遠くの効果器から脳神経の起始部に近づいていく神経のタイプとなるのです。
特殊内臓遠心性は、特殊は視覚か聴覚、内臓は表層より深部で目に見えない効果器、遠心性は脳神経の起始部から遠くの効果器に近づいていく神経のタイプという意味です。
よって、一般と特殊、体性と内臓、求心性と遠心性を組み合わせた脳神経のタイプは5種類です。
脳神経の型の話をしていきます。
運動神経、感覚神経、自律神経の3つに区別されます。
脳神経のタイプと重複していますが、型については生理学的な見方と考えてください。
タイプとは、神経生理学的な見方で脳神経の機能を分かりやすく5つに区別しています。
運動神経は、対象の効果器を運動させる神経です。
感覚神経とは、効果器の運動を知覚する神経です。
自律神経とは、脳神経の自律神経核から自律神経の節に神経細胞を伸ばしている神経です。
運動神経と感覚神経で知覚される感覚は意識できますが、自律神経はほぼ意識することができない神経です。
脳神経の起始と停止
左右12対の脳神経の起始と停止を見ていきましょう。
起始は神経の始まる起点、停止は神経の終止点をいいます。
筋肉もそうですが、解剖学的に見た起始と停止を理解することはとても大切です。
機能が分からなくなっても、起始部と停止部が理解できておくと、神経の機能まで見えてくるからです。
例えば、起始部が血管や内臓で停止が迷走神経背側核となる第10脳神経である迷走神経があります。
起始部が神経のスタートさせる起点ですので、この神経は血管や内臓の感覚を脳に伝達すると見ることができます。
遠くの効果器から神経の核に神経の枝が繋がり、神経の核に入ってくるというのが分かります。
よって、第10脳神経の迷走神経は、血管や内臓が運動した感覚を知覚する機能となり、感覚神経であり、求心性線維でもあるのです。
では12対の脳神経の起始と停止を見ていきましょう。
脳神経の起始と停止
- 第1脳神経:嗅神経
感覚神経:起始:嗅球 停止:嗅細胞 - 第2脳神経:視神経
感覚神経:起始:眼球(網膜) 停止:後頭葉(鳥距溝の周囲) - 第3脳神経:動眼神経
運動神経:起始:動眼神経核(主核)・Edinger-Westphal核(副核) 停止:内直筋・上直筋・下直筋・下斜筋・上眼瞼挙筋
副交感神経:停止:瞳孔括約筋・毛様体筋 - 第4脳神経:滑車神経
運動神経:起始:滑車神経核 停止:上斜筋 - 第5脳神経:三叉神経
感覚神経(V1眼神経):起始:眼窩(角膜・結膜)・頭頂〜鼻 停止:三叉神経中脳路核
感覚神経(V2上顎神経):起始:上顎〜頬部 停止:三叉神経主感覚核
感覚神経(V3下顎神経):起始:下顎〜側頭部・外耳道の一部・舌の前2/3 停止:三叉神経脊髄路核
運動神経:起始:三叉神経運動核 停止:咀嚼筋など - 第6脳神経:外転神経
運動神経:起始:外転神経核 停止:外直筋 - 第7脳神経:顔面神経
運動神経:起始:顔面神経核 停止:顔面の表情筋(前頭筋・眼輪筋・大小頬骨筋)・アブミ骨筋
感覚神経:起始:舌の前2/3・外耳道・鼓膜の一部・耳介後部 停止:孤束核
副交感神経:起始:上唾液核(経由:翼口蓋神経節) 停止:涙腺・鼻腺
副交感神経:起始:上唾液核(経由:顎下神経節) 停止:舌下腺・顎下腺 - 第8脳神経:内耳神経
感覚神経:起始:内耳の蝸牛(かぎゅう) 停止:蝸牛神経
感覚神経:起始:内耳の半規管・前庭(卵形嚢・球形嚢) 停止:前庭神経 - 第9脳神経:舌咽神経
運動神経:起始:疑核 停止:茎突咽頭筋
感覚神経:起始:舌の後1/3 停止:孤束核
感覚神経:起始:舌の後1/3・咽頭・耳の一部 停止:三叉神経脊髄路核・主感覚核
感覚神経:起始:咽頭・頸動脈洞 停止:孤束核
副交感神経:起始:下唾液核 停止:耳下腺 - 第10脳神経:迷走神経
運動神経:起始:疑核 停止:軟口蓋・咽頭・喉頭の筋
感覚神経:起始:胸腹部の内臓・大動脈洞など 停止:孤束核
副交感神経:起始:消化管・気管の平滑筋と腺・心筋 停止:迷走神経背側核 - 第11脳神経:副神経
運動神経:起始:副神経核 停止:胸鎖乳突筋・僧帽筋 - 第12脳神経;舌下神経
運動神経:舌下神経核 停止:舌筋(オトガイ舌筋・舌骨舌筋)
脳神経の位置
脳神経の位置を構造的に見ていきましょう。
前述しました通り、脳神経の番号が1が1番上位に位置し、12番が1番下位に位置します。
1と2は脳幹よりも上位にあって、脳神経の中でも機能的に除外して考える医学書もあります。
- 第1脳神経:嗅神経:鼻腔内の嗅球から始まり嗅神経に終止
- 第2脳神経:視神経:眼球(網膜)から始まり後頭葉に終止
嗅神経と視神経は他の脳神経と構造が違いますが、脳神経に入れています。
脳神経の原則は、脳幹に核を持つ神経とされています。
でも、嗅神経と視神経は脳幹よりも上にを持ち、核はありません。
特例だと思っておいてください。
では、脳神経の位置をまとめていきます。
嗅神経と視神経が脳幹より上に2つ、中脳に2つ、脳幹の橋(きょう)に4つ、脳幹の延髄に4つです。
- 嗅神経・視神経:脳幹より上
- 動眼神経・滑車神経:中脳
- 三叉神経・外転神経・顔面神経・内耳神経:橋
- 迷走神経・舌咽神経・副神経・舌下神経:延髄
脳神経の位置を理解しておけば、あなたが何か頭頚部に痛みや違和感、運動麻痺、感覚麻痺などの症状が出たときに、どの脳神経に問題があるのかに気づけます。
脳神経が通る孔
脳神経は頭蓋内から外に出てそれぞれの脳神経が繋がる効果器に付着します。
脳神経核は頭蓋内ですので、脳の外側には頭蓋骨が覆っています。
頭蓋骨は当然硬い骨ですので、脳神経は効果器に出ていけませんが、そのために空洞があるのです。
この空洞を脳神経が通る孔(こう)といいます。
脳神経を理解するためには全体的に見ることです。
「木を見て森を見ず」では、脳神経の働きの本質までたどり着けないです。
脳神経が通る孔を見ていきましょう。
まず、頭蓋底と言われる頭蓋骨の1番下の骨の受け皿となる部位の窩が3つあります。
前頭蓋窩、中頭蓋窩、後頭蓋窩といいます。窩とは、硬い物体が窪んでいるという意味です。
脳神経が出ている脳幹はこの3つの窩に収まってる形になっています。
12の脳神経は脳幹を根元にしてこれらの窩にはまり込んでいるのです。
次の表に、3つの窩に入り込む脳神経と血管を区別します。
脳神経を分かりやすく理解するには、脳神経以外の関係性を繋げていくことです。
頭蓋底の窩と脳神経と血管
- 前頭蓋窩
嗅神経 - 中頭蓋窩
視神経
眼動脈
動眼神経
滑車神経
外転神経
眼神経(V1)
上顎神経(V2)
下顎神経(V3) - 後頭蓋窩
顔面神経
内耳神経
舌咽神経
迷走神経
副神経
内頸静脈
舌下神経
延髄
椎骨動脈
前・後脊髄動脈
*色分け
黄色ライン:脳幹より上
赤ライン:中脳
青ライン:橋
鼠ライン:延髄
脳神経は脳幹に起始があります。
この起始部の脳幹は中枢神経で区分される脳細胞です。
脳細胞である脳幹は、細胞の塊で、頭蓋内では頭蓋底の窪み集まっています。
後頭部から首の付け根を手のひらと手のひらを小指側で合わせ、水をすくうときの手の形にします。
このときの手の平に乗るぐらいが脳幹の大きさです。
脳神経が出る幹が収まる窪みが分かったところで、脳神経が頭蓋の外に出る孔を解説します。
脳神経が起こる孔
- 篩板孔(しばんこう)
嗅神経 - 視神経管
視神経
眼動脈 - 上眼窩裂
動眼神経
滑車神経
外転神経
眼神経(V1) - 正円孔
上顎神経(V2) - 卵円孔
下顎神経(V3) - 内耳孔
顔面神経
内耳神経 - 頸静脈孔
舌咽神経
迷走神経
副神経
内頸動脈 - 舌下神経管
舌下神経 - 大後頭孔
副神経
延髄
椎骨動脈
前・後脊髄動脈
1つの孔に3つの脳神経が出ていく部位もあります。
神経線維は効果器に向かっていくコードですので、同じ孔に出る脳神経は同じ効果器に反応させる神経です。
孔が頭蓋骨のどこに空洞を作っているのかを知ってもらうと、効果器との関係でもっと解剖学の知識が強化されることで、脳神経があなたの思考や行動、さまざまな習慣に関係しているのがよく分かるようになります。
脳神経の機能
脳神経の機能を12の脳神経別に見ていきます。
上記に脳神経の起始と停止をまとめましたが、どんな機能をもち、あなたの身体を支えてくれているのかを知っていきます。
第1脳神経:嗅神経
起始:嗅球 停止:嗅細胞
位置:脳幹より上
篩板孔を通過
第1脳神経の嗅神経は、吸気に含まれる匂いを感知する鼻腔最上部の嗅上皮にある嗅球で知覚し、嗅細胞で受容します。
嗅神経は嗅覚をコントロールする純粋な感覚神経です。
咽頭や喉頭にアレルギーや炎症などの症状を抱えてる人がいますが、上咽頭と言われる喉の奥での症状です。
鼻の調子が悪くても、嗅神経を知覚する嗅上皮は鼻腔の前方にあるため、ほぼ機能低下は起こらないとされています。
吸気に反応で嗅球に入った線維はシナプスを介し、嗅索と言われる線維となり、中枢に向かいます。
中枢では、嗅索から鉤(こう)と言われる部位に達したら、そこから内側側頭葉で収束します。
慢性炎症が鼻の粘膜で広範囲に発症しているよ、匂いは知覚しても、嗅索から鉤の経路が鈍感となり、匂いと認知が繋がらない症例があります。
この際、影響する行為は、お料理です。
匂いが脳の認知機能に伝達されにくいため、味覚との連合作用が効きにくくなります。
その結果、お料理の味が味加減の美味しい具合での調理が難しくなっていきます。
日本料理の料理人は味覚が効かない場合、上咽頭や副鼻腔内の炎症や症状を治療をします。
嗅神経と味覚は密接に繋がりがあったのです。
第2脳神経:視神経
起始部:眼球(網膜) 停止:一次視覚野
位置:脳幹より上
視神経管を通過する
視神経は、視覚をコントロールする純粋な感覚神経です。
眼球から入った視覚情報を視神経は後頭葉に伝えます。
視覚情報は、脳の構造により見えたものが反転して一次視覚野に伝達されます。
眼球にある網膜は上下左右反転した像が映り、途中経由する感覚の中枢視床で新しいニューロンを介します。
視神経が後頭葉に達するまでの経路は、眼球(網膜)から視交叉を通り、視索という経路で視床の外側膝状体に着きます。
外側膝状体からは、2つの経路を通ります。
反転した視野の上半分は後頭葉の下側から後頭葉に伝達します。
反対の視野下半分は上側から後頭葉に伝達します。
一次視覚野に伝達される情報は、上下左右反転して投射されているのです。
上下左右反転して一次視覚野は情報を処理するため、目で見た情報は誤作動がとても多いです。
数字とか名前を書いたメモをチラッと見て理解したつもりになっていてもそうでないことがあります。
暗証番号をメモしていたのを確認して、ネットの個人情報入力に数字を入れるとき、思い込む数字とは違っていたりします。
スーパーで買い物をしてメモに書いていた買うべきものが抜け落ちたりします。
網膜で一瞬捉えた情報はほぼ残っていないと思った方がいいです。
さらに一次視覚野では上下左右反転しているので、現実世界で見た目から入る情報とはズレがあるからです。
第3脳神経:動眼神経
起始部ー停止部
・運動神経:動眼神経核ー内直筋・上直筋・下直筋・下斜筋・上眼瞼挙筋
・副交感神経:Edinger-Westphal核(副核)ー瞳孔括約筋・毛様体筋
位置:中脳
上眼窩裂を通過する
第3脳神経の動眼神経は、第4脳神神経の滑車神経、第6脳神経の外転神経の3つの脳神経が共同作業をします。
動眼神経は副交感神経の運動線維をもつため、視床下部で調節されている神経伝達に反応します。
瞳孔括約筋は瞳孔が開かないように収縮する筋肉です。
毛様体筋は眼球のレンズで光を受け入れる際に活動する筋肉です。
自律神経が乱れて交感神経が優位になると、動眼神経の副交感神経は抑制されます。
瞳孔が開きやすくなると、光が眩しくて前が見えにくくなります。
視野に影響が出てきます。
動眼神経の運動神経は、眼球の周囲に付着する眼球を動かす筋肉をコントロールします。
眼球の内側に付着するのが内直筋。眼球の上側に付着するのが上直筋。
眼球の下側に付着するのが下直筋。眼球の外側にある外直筋にすぐ下に付着する下斜筋。
あと眼球の上の瞼(まぶた)の筋肉が上眼瞼挙筋。
この5つが動眼神経がコントロールする運動神経です。
最初の4つの眼球の運動に関係する筋肉の機能を見ていきます。
眼球の内側の内直筋は眼球を内向きに動かすときに収縮します。
眼球の上側の上直筋は眼球を上に動かすときに収縮します。
下直筋は眼球を下に動かすときに収縮します。
下斜筋だけ少し機能が違い、眼球を上に動かすときに収縮します。
眼球は斜め上と斜め下に動かす単独の筋肉はありません。
眼球を外斜め上に動かすとき、外直筋と上直筋が収縮します。
眼球を内側に動かすときは、斜め下に向くなら上斜筋、斜め上を向くなら下斜筋が収縮します。
眼球運動と主に活動する筋肉
- 外:外直筋
- 内:内直筋
- 外+上:外直筋・上直筋
- 内+上:内直筋・下斜筋
- 外+下:外直筋・下直筋
- 内+下:内直筋・上斜筋
私のパーソナルトレーニングでは、脳神経の機能を確認します。
動眼神経を確認するときは、約50cm離れた位置で人差し指を立てて、顔を止めたまま眼だけで追ってもらいます。
眼球運動の動きで動眼神経の機能が確認できます。
右の眼球運動が指に追いかけられなら、右側に動眼神経の損傷を疑います。
脳内の神経と血管が圧迫され、梗塞が起きている可能性があるからです。
眼球運動の確認をすると、眼振が見られるケースがあります。
ヒアリングをするとめまいが慢性的に症状としてあると言われます。
眼振とは、眼球がけいれんしたように動いたり揺れたりすることの医学的な名称です。無意識に規則的にリズミカルに動いたり、振り子のように往復運動が起こったりします。眼の動きを上手にコントロールできない場合に起こり、両眼に見られることが原則です。眼振はさまざまな原因で起こります。また、生理的眼振(正常な眼振)は、例えば動く乗り物の中から外の景色を見ているとき誰でも起きる眼振です。生理的な眼振が起きていることは、物を見る視野があることの証拠になるので、赤ちゃんの視力の評価にも使います。脳の障害、耳の障害、薬物中毒、その他の全身疾患のために眼振が起きることがあります。
通常、このような眼振はめまいが起きたり、物が揺れて見えたり、その他全身の症状を伴います。参考記事:眼振|日本弱視視学会
脳の神経と血管が原因となる動眼神経障害が出ると次のような症状が生じます。
動眼神経障害の主な原因は、脳動脈瘤、糖尿病、テント切痕ヘルニアなどがあります。
動眼神経障害の主な原因
- 脳動脈瘤
- 脳腫瘍
- 脳梗塞
- 頭蓋内圧亢進(テント切痕ヘルニアなど)
- 外傷性による脳内病変
- 糖尿病による神経障害
特発性頭蓋内圧亢進症-09.脳、脊髄、末梢神経の病気-MSDマニュアル
動眼神経の作用ー動眼神経麻痺
- 運動神経成分
・眼球運動ーーー眼球運動障害(複視)
・眼瞼挙上ーーー眼瞼下垂
- 副交感神経成分
・縮瞳ーーーーー散瞳
・対光反射ーーー対光反射の消失
・調節・輻輳(ふくそう)反射ーーー調節・輻輳反射の消失
脳内の病変が起きているかを医師が診断する際、瞳孔の評価、眼球運動の評価をします。
この理由は、脳内で障害が起きると動眼神経が中枢神経の中脳で起こりやすいからです。
健康な身体は1人1人の生活習慣によるさまざまな要素があるため、見つけにくいです。
しかし、病気は90%の病変する部位は傾向があります。
医師が瞳孔と眼球運動を診断するのは、病理的な傾向があることからです。
眼球運動障害で起きる症状は複視と言われます。
複視とは、1つの物体が2つ以上に見えます。
眼球や網膜に限定された複視もあるのですが、この場合片眼複視となります。
動眼神経麻痺による複視は、両眼複視が特徴的な症状です。
片眼複視と両眼複視の病巣の違い
- 片眼複視
・眼のレンズの濁り(白内障)
・角膜の形の問題
・未矯正の屈折異常(乱視)
- 両眼複視
・眼を動かす脳神経の障害(動眼神経・滑車神経・外転神経)
・重力筋無力症
・眼の動きが物理的に妨げられること
動眼神経の運動線維は眼瞼挙上筋の収縮を行ないます。
加齢によって眼瞼筋が下がり、眼球を塞いでしまう症状が出てきます。
眼瞼筋が挙上できなくなると、自力で眼を開けられなくなります。
指を使って瞼を挙げないと、視野が狭くなります。
この症状は加齢によるとされますが、加齢による動眼神経の機能低下ではないかと考えています。
動眼神経障害では、瞳孔括約筋が低下し、瞳孔が開きやすくなります。
この状態を散瞳といい、光の入る量によって瞳孔が開閉がうまく機能しなくなります。
つまり、光が多い日中に瞳孔が閉まらず、眩しい視野になるのです。
対光反射とは、瞳孔の開閉を反射的に行なう反射機能です。
眼科を受診すると、ペンライトで眼球を照らし、対光反射を診断します。
光を当てると瞳孔が収縮しますが、動眼神経障害が起きていると瞳孔が閉じません。
動眼神経障害による調節、輻輳反射は、光量を調節する働きです。
光に受けた瞳孔は収縮する機能を縮瞳といいます。
他には、光を網膜が受けると水晶体を厚くする働きがあります。
この働きは動眼神経副核が副交感神経としてコントロールする毛様体筋が行ないます。
輻輳とは、視線の交点を両眼の視線を内側に持ってくる働きです。
無意識に視線を合わせるために眼球を内転し、他者が気づかないぐらい小さい動きです。
動眼神経障害が起きると、これらの眼球運動が反射的に行なえません。
動眼神経障害が長期化すると、両眼が協調性が行なえず、眼球の位置が左右非対称になることがあります。
第4脳神経:滑車神経
起始部:滑車神経核 停止部:上斜筋
位置:中脳
上眼窩孔を通過する
上斜筋とは、眼球の上方で内側から中心より外側に停止する筋肉です。
上斜筋は斜内側から下に眼球を動かすときに収縮します。
眼球運動の確認をするときに、上斜筋の確認が滑車神経と他の眼の脳神経との決め手になります。
眼に関係する脳神経は動眼神経と外転神経との協調性と言いました。
動眼神経と外転神経の運動線維を伸ばす眼球に関係する筋肉で上斜筋は関係していません。
よって、脳神経の障害を細かく評価するときに、役に立つのが上斜筋の評価です。
斜内側から下の眼球運動ができるのに、それ以外の方向への眼球運動ができないなら、滑車神経以外の脳神経になります。
滑車神経が障害が起きると、代償性頭位が特徴的な症状です。
障害側の眼球は外旋し、外上方に偏位します。
右眼の場合だと、偏位する方向に眼球を中心に合わせた頭部の位置となるのです。
障害側でない健側に傾け、たり、顔を向けたり、顎を引いて頭を下げる位置に頭を変えるのです。
代償性頭位があると、滑車神経に障害が起きていると気づけます。
滑車神経障害の代償性頭位とは
- 頭を健側に傾ける
- 顔を健側に向ける
- 顎を引いて頭を下げる
頚椎に回旋の偏位が極端にある人には、滑車神経の障害や機能低下を疑います。
頚椎にカウンターアクティビティーと言われる関節の物理構造的に、上位の頚椎と下位の頚椎が反作用が起きていると、特に眼から来る頚椎の問題ではと考えます。
眼球と頸部の偏位が関係していなければ、反作用が起きて偏位することはありません。
姿勢が不適切な位置が原因なら、首の偏位は過伸展か側屈にとどまるからです。
脳神経の知識を知っておくと、頭頚部に起きる機能低下から姿勢の繋げるなど個々に合った身体の評価ができるのが大きいですね。
第5脳神経:三叉神経
起始部
・第1枝(V1)眼神経(感覚神経):眼窩(角膜・結膜など)・頭頂〜鼻
・第2枝(V2)上顎神経(感覚神経):上顎〜頬部
・第3枝(V3)下顎神経(感覚神経):下顎〜側頭部・外耳道の一部・舌の前2/3|(運動神経)咀嚼筋など
停止部:深部感覚・触覚・温痛覚によって脳幹の核は異なります。
・三叉神経運動核:咀嚼筋の運動
・三叉神経中脳路核:深部感覚
・三叉神経主感覚核:触覚
・三叉神経脊髄路核:温痛核
位置:橋
V1は上眼窩裂・V2は正円孔・V3は卵円孔を通過する
三叉神経の神経線維のほとんどは感覚神経です。
感覚を伝える領域は、顔面と舌の前2/3で、顔面は深部感覚と触覚、舌は温痛核と触覚です。
深部感覚である顔面の意識できる範囲の皮膚や筋肉の感覚、顔面を人に触れてもらったときの触覚が三叉神経感覚神経線維で脳幹の脳神経核に伝わります。
パートナーに顔に手を当ててもらえると三叉神経があなたに触れられていると知覚させてくれます。
マッサージやエステなどの触れてもらう手技で顔面の感覚は三叉神経を伝達します。
舌は前2/3の感覚領域なので、食べ物が舌に最初のったときの感覚を三叉神経が脳神経核まで伝達します。
三叉神経が障害を起こし麻痺すると、食べ物が舌にのったかどうか気づけなくなります。
食事行為は、嗅覚、味覚、舌の知覚の連合作用ですので、三叉神経が麻痺すると美味しいという実感が少なくなっていきます。
三叉神経のV1〜V3が司る感覚領域以外に、口腔、鼻腔、副鼻腔、歯、硬膜の感覚を知覚します。
快と不快感覚の識別が難しく、鼻腔や副鼻腔や歯などの痛みのような不快感を感じることがあります。
三叉神経は、後頭部以外の顔の前面のほとんどの感覚を伝えると考えてもらえるといいでしょう。
三叉神経の機能を確認するときに有効なのは、ティッシュペーパーで額(ひたい)、頬(ほほ)、顎(あご)への刺激です。
ティッシュペーパーはソフトな感覚なので、触覚の確認ができます。
三叉神経は温痛覚もコントロールするので、つまようじなどの先が尖ったもので痛覚に刺激を与えると機能しているか確認ができます。
三叉神経のV1が障害は、頭頂から鼻部の全感覚障害(温痛覚、触覚、深部感覚)が起きます。
障害側の眼に触れたとき、眼が自然に閉じるとされる角膜反射が消失します。
眼がかゆいと感じて眼に手を触れる行為がありますが、V1が機能していると眼に触れたとき角膜反射で眼が閉じるようにできています。
V1が障害されると角膜反射が消失するので、眼を直線触れることになり、角膜や網膜を自分の手で損傷するケースもあります。
三叉神経のV2の障害は、頬部から上顎部の全感覚障害が起こります。
三叉神経のV3の障害は、下顎から側頭部、外耳道の一部の全感覚障害が起こります。
V3の運動線維は咀嚼筋に投射しているので、咀嚼筋の麻痺が出てきます。
咀嚼は上顎が安定性で、下顎が開閉をし咀嚼筋の収縮と伸張をします。
咀嚼筋が麻痺すれば、食物を噛むことが難しく、嚥下のタイミングを逃すことになるのです。
食事以外の時間では、下顎が上顎に対して偏位を起こし、障害側にズレることがあります。
咀嚼筋とは
- 咬筋
- 側頭筋
咀嚼筋の過緊張が片頭痛を生むという内容の記事、セロトニン過剰な分泌で頭痛が起こる理由は人間関係によるストレス|心の疲れが生む耐え難い痛みで詳しく書いています。また見ておいてください。
三叉神経V3の確認は、咀嚼筋を働かせて下顎の位置を見ると機能しているかが分かります。
障害側の側頭筋と咬筋ともほぼ緊張がなく筋肉の厚みもありません。
ハンドリングで咀嚼筋を確認して障害の特定して、口を開けてもらい、下顎が外側に偏位したら95%の確認で三叉神経に問題があると考えられます。
V1とV2の障害かどうかを特定するのに咀嚼筋を確認するのは良い判断となります。
感覚領域でも特定できますが、V2とV3の境界線ではどちらか検討つかないこともあります。
三叉神経障害が疑われるときは、咀嚼筋の確認が欠かせません。
第6脳神経:外転神経
起始部:外転神経核 停止部:外直筋
位置:橋
上眼窩裂を通過する
外転神経は眼に関係する脳神経で、動眼神経と滑車神経と協調し合っています。
外転神経は運動線維で、眼球の付着する外直筋を活動させます。
外直筋は眼球を外側に動かす筋肉ですので、眼球を指で追いかけさせて外側に動かないなら外転神経障害を疑われるます。
外転神経の障害では、外直筋が麻痺をし、眼球は内側に偏位してきます。
片目だけ内側に眼が寄っている人は、同側の外転神経の障害が起きていると考えられます。
動眼神経障害では、眼瞼下垂、散瞳、調節。輻輳反射消失、滑車神経障害では代償性頭位が特徴的でした。
動眼神経と滑車神経が損傷がなく、外転神経だけの障害なら、上記の症状はまったく出ません。
外直筋の麻痺だけが表出します。
第7脳神経:顔面神経
起始部ー停止部
・顔面神経核(運動神経)ー顔面の表情筋・アブミ骨筋
・孤束核(感覚神経)ー舌の前2/3・外耳道・鼓膜の一部・耳介後部
・上唾液核(副交感神経)ー涙腺・鼻腺・下顎腺・舌下腺
位置:橋
内耳孔を通過する
顔面神経は主に顔面筋のうち表情筋を動かす運動線維です。
感覚神経では、舌の前2/3の味覚を孤束核に伝えますし、副交感神経線維では涙腺や唾液を活動させるマルチな脳神経です。
第5脳神経の三叉神経と共通した領域をコントロールしますので、顔面神経の機能と間違えやすいです。
顔面神経は表情筋を運動させますが、三叉神経にはその運動機能はありません。
顔面神経は頭蓋内から内耳孔を通過します。
この内耳孔は第8脳神経の内耳神経と同じです。
顔面神経は内耳神経とともに、内耳孔から内耳道に入り、途中で内耳神経と分かれます。
分かれたあと、顔面神経は顔面神経管とよばれる管の中を通ります。
その管で副交感神経線維を枝分かれさせてから、茎乳突孔から皮下に出ます。
顔面神経は運動神経機能しかもたない脳神経より多様な機能をもつので経路が複雑ですね。
経路が複雑な分、頭蓋内の内圧亢進や頭蓋骨の偏位、後頭ー仙骨自然呼吸運動の低下が起こると、顔面神経に機能低下が起きてきます。
顔面神経が表情筋に枝分かれする経路は分かりやすくできています。
顔面神経がコントロールするのは5つの表情筋。
この5つの表情筋に枝分かれする神経線維があるのです。
顔面神経がコントロールする表情筋
- 前頭筋:額にしわを寄せる
- 眼輪筋:眼を閉じる
- 大・小頬骨筋:口の開閉を行なう・口角を持ち上げる
- 口輪筋:大・小頬骨筋と同じ
- アブミ骨筋:アブミ骨筋反射を行なう
この表情筋5つに神経線維が枝分かれし、神経の名前があります。
前頭筋に向かうのが側頭枝、眼輪筋に向かうのが頬骨枝、大・小頬骨筋と口輪筋に向かうのが頬筋枝です。
アブミ骨筋には、顔面神経核から内耳孔を通過した後に腹側に向かっています。
顔面神経の感覚神経と副交感神経を見ていきましょう。
舌前2/3の味覚を知覚し、橋の脳神経核である孤束核に神経線維を伸ばします。
舌から枝を伸ばすのは鼓索神経を介し、内耳孔を通過して孤束核へと到達します。
副交感神経線維とは、鼓索神経で合流し内耳孔の手前で鼻腺からと涙腺へ向かう副交感神経線維と対面して内耳孔を通過します。
副交感神経線維は、脳神経核にある上唾液核から枝を伸ばします。
同じく内耳孔を通過してすぐに方向が分かれます。
唾液を分泌する下顎方面と、鼻腺と涙腺へと向かう方面に分かれるのです。
鼻腺と涙腺へは、翼口蓋神経節で新しい神経細胞(ニューロン)を介してから到達します。
唾液腺へは、内耳孔から尾側方面に少し行き、顔面神経運動線維が通過する茎乳突孔より少し手前で腹側の曲がります。
そのまま下顎方面に枝を伸ばし、顎下神経節で新しいニューロンを介して舌下腺と顎下腺に到達します。
顔面神経副交感神経線維の経路
- 上唾液核→翼口蓋神経節→涙腺・鼻腺
- 上唾液核→顎下神経節→舌下腺・顎下腺
顔面神経はこのように運動線維、感覚線維、副交感神経線維に枝を伸ばす神経線維が明確です。
障害部位が特定しやすいのが顔面神経障害です。
そこに関連するのが中枢から繋がっている神経線維です。
上位中枢である大脳皮質から顔面神経核をコントロールしているのです。
顔面の上部は大脳皮質の両側から神経線維でコントロールします。
顔面の下部は大脳皮質の対側から神経線維でコントロールします。
よって顔面の上部と下部のどちらに障害が出ているかで、両側なのか対側なのかで中枢か末梢かに分けることができます。
- 顔面上部:両側の大脳皮質が支配
- 顔面下部:対側の大脳皮質が支配
- 顔面上部・下部:顔面神経が支配
大脳皮質と脳神経核の間に障害が起きていると、顔面の下部に症状が限定されて出てきます。
症状が出ているのが左の顔面の下部なら、右の大脳皮質と脳神経核の間に障害が起こっていると考えられます。
顔面の上部は左の大脳皮質がコントロールしているため症状が出ないのです。
顔面神経から顔面の間に障害が起きていると、同側の顔面の上部と下部の両方に症状が出ます。
顔面神経は同側の上部と下部両方をコントロールするからです。
これらの症状は顔面神経の運動線維の障害です。
顔面の動きを見て顔面神経障害かを簡単に見極めることができます。
例えば、額にしわを寄せる、眼を閉じる、口角を上げる、などです。
鼻と口の間の溝が浅い深いかでも確認できます。
浅くなっていると、中枢性か末梢性の両方の顔面神経の障害の可能性があります。
第8脳神経:内耳神経
起始部ー停止部
・蝸牛神経核(感覚神経)←蝸牛の内耳
・前庭神経核(感覚神経)←内耳の半規管・前庭(卵形嚢・球形嚢)
内耳神経は、聴神経とも言われ、蝸牛神経と前庭神経に2つの成分からなる純粋な感覚神経です。
主な働きは、蝸牛神経が聴覚、内耳の半規管と前庭が平衡感覚です。
内耳神経は耳の構造を知っておいた方が良いため、ここで耳の解剖と音の伝わり方の解説を入れます。
耳というのは、外耳、中耳、内耳の3つで構成されています。
外から見える耳の入り口は、外耳といい、耳の中の空洞から鼓膜までが外耳道です。
内耳神経は鼓膜の奥の内耳という複雑な形をした部位で聴覚と平衡感覚をコントロールします。
鼓膜から内耳に入ると、鼓膜に付着した骨の塊があります。
この塊を、耳小骨といい、ツチ骨、アブミ骨、キヌタ骨の3つで構成されます。
音が耳に伝わると、内耳道では音波として鼓膜に伝わります。
音波は鼓膜を振動させ、この耳小骨の背側にある蝸牛というカタツムリの形をした部位に振動を伝えます。
蝸牛の構成とは
- 蝸牛管という管状で構成
- 蝸牛には蝸牛管以外に前庭階、鼓室階という管状の3つが集まる管状
- 蝸牛には内リンパと言われるリンパ液が集まっている
音波は蝸牛に伝わり、蝸牛管の入り口にある有毛細胞まで振動が伝わります。
その後、有毛細胞が蝸牛神経に興奮を与え、電気信号に変わって中枢に伝えます。
耳小骨の腹側には骨迷路といわれる部位があります。
骨迷路では、小さい円、大きい円が楽器のような形で音波が響くような空洞です。
骨迷路に接続する前庭神経が平衡感覚をコントロールします。
内耳神経が障害が起きると現われる症状は、難聴とめまいです。
難聴には、外耳道から耳小骨までの原因と有毛細胞から中枢までの原因とがあります。
外耳道かた耳小骨までの難聴を音波が伝わらない原因なので伝音性難聴といいます。
有毛細胞から中枢までの難聴を神経伝達の抑制に原因があるため感音性難聴といいます。
聴力の検査で難聴が疑われたら、次に伝音性難聴なのか感音性難聴なのかを判断し損傷部位を特定します。
内耳神経の障害では蝸牛神経にあるので感音性難聴です。
蝸牛神経にはらせん神経節という神経伝達を受容する脊髄のような中継点があります。
内耳かららせん神経節までが原因の内耳性難聴、らせん節より中枢側に原因があるのは後迷路性難聴といいます。
平衡感覚の障害で起こるのはめまい、眼振、平衡機能低下です。
平衡感覚の障害
- めまい
- 眼振
- 平衡機能低下
半規管と卵形嚢、球形嚢に平衡感覚の受容器があって、前庭神経とつながっています。
この部位で、平衡感覚に必要な回転加速度と直線加速度と重力を知覚します。
平衡感覚を知覚する情報源
- 回転加速度
- 直線加速度と重力
知覚された感覚情報は、前庭神経を通り、前庭神経核経て中枢に伝わっていきます。
中枢では小脳、大脳皮質、眼球運動に関係する脳神経核、脊髄へと伝えられます。
眼球運動に関係する脳神経核は、動眼神経核、滑車神経核、外転神経核です。
平衡感覚は、内耳神経での感覚情報以外にも、皮膚や筋肉などの深部感覚、姿勢コントロールで活動する脳幹網様体の情報も関与します。
平衡感覚は入力、中枢、出力がほぼ同時にコントロールされる機能をもちます。
内耳神経の障害、小脳への感覚情報が乏しい神経伝達パターンでも平衡感覚が失われます。
平衡感覚が使えないと、めまいや眼振などが出てきて、嘔気(吐き気)や嘔吐反応が起きるのです。
寝起きで吐き気がひどいときに起こっている3つの症状を書いた記事が、辛い寝起きの吐き気がひどい症状の3つの原因|違う場合は他の病気の可能性まで絞りますです。
内耳神経の障害をはじめ、姿勢コントロール不良などで平衡感覚が失われると、身体の角度が変化したときにすぐに反応してくれる前庭脊髄反射と前庭動眼反射が停止します。
前庭脊髄反射と前庭動眼反射がないと、身体の関節と関節の間のセグメントを自由にできなくなります。
その理由は、身体の位置が変化したときに立ち直る反応を1秒以内で調整してくれるからです。
第9脳神経:舌咽神経
起始部ー停止部
・疑核(運動神経成分)ー茎突咽頭筋
・孤束核(感覚神経成分)ー舌の後ろ1/3
・三叉神経脊髄路核・主感覚核(感覚神経)ー舌の後ろ1/3・咽頭・耳の一部
・孤束核(感覚神経)ー咽頭・頸動脈洞など
・下唾液核(副交感神経)ー耳下腺
位置:延髄
頸静脈孔を通過する
舌咽神経の主な働きは、舌の後ろ1/3の味覚、温痛覚、触覚をコントロールします。
また迷走神経とともに咽頭の運動と感覚の支配と、副交感神経線維は耳下腺における唾液の分泌を促します。
口の中の空間とされる口蓋(こうがい)と鼻の裏側から喉頭の間の喉頭は、舌咽神経と第10脳神経の迷走神経が共同でコントロールします。
つまり、口の中と喉は舌咽神経と迷走神経が主で調整をしています。
舌咽神経の起始部が脳幹の延髄ですので、脳血管障害が起きても損傷されることがあまりありません。
病気による障害よりも、自律神経の乱れによる舌咽神経の機能低下はよく起こります。
耳下腺の機能低下が起こると唾液の分泌が低下します。
食物を摂取しても、口腔内の機械的消化が不十分となり、胃に送られます。
胃は唾液腺の働きを脳が知覚して胃液分泌のホルモンを促進します。
この働きが遅くなり、胃は急激に流れてきた食物塊に胃酸分泌を急速に増やして対応します。
その結果、胃酸で胃壁が自ら消化されることのないように粘液の分泌が追いつきません。
胃壁に炎症が起き、急性胃炎や慢性炎症で胃の病気や胃がきっかけで全身の自己免疫が弱くなっていきます。
自律神経の乱れは自分ではなかなか気づけず、風邪で熱が出て、喉が痛くなるなどの症状がありません。
気づいたときには、胃の病気で気づくという現状があります。
仮に胃の病気を治療して完治したとしても、根本的な原因は自律神経の乱れからです。
根源を追求しないと、胃に限らず、他の病気に発展することが出てきます。
舌咽神経の障害があるかどうか、機能低下があるのかどうかを見るには、口蓋の状態を確認する方法があります。
ちなみに口蓋には、前方が上顎骨の底に面し硬い構造で、喉ちんこに近い部位は軟部組織ででき柔らかい構造です。
口蓋とは、歯の内側から喉頭までを指します
前方:硬口蓋:骨を接しているので硬い構造
後方:軟口蓋:骨と接しておらず柔らかい
口を大きく開けてもらい、「アー」と長く声を出してもらいます。
その状態を、ペンライトで照らし、軟口蓋の動き、口蓋垂(こうがいすい:喉ちんこ)の偏位、カーテン徴候の有無を観察します。
軟口蓋が左右均等で振動が起きているのか、口蓋垂が左右内側に偏位していたら、舌咽神経の問題を考えます。
カーテン徴候とは、障害側や機能低下側に後咽頭にあるヒダが適切でない形です。
「アー」と声を出すと、軟口蓋が運動として挙上します。
舌咽神経が障害または機能低下が起きていると、挙上ができておらず、口蓋垂は健側に偏位します。
日常で人と話をして声を出していますが、硬口蓋の挙上の低下、口蓋垂の健側の偏位などは気づけなくほぼ無感覚です。
硬口蓋の働きが非対称になってしまうと、空気の入出ができなくなり、気道への空気に吸引量も減ります。
その結果、呼吸が浅くなり、肺の細胞の量も減ってくると、酸素摂取も少なくなります。
そして、声を出すときに声帯の締り具合が弱くなり、声のかすれが出てきます。
声が出にくいので、さらに無理に声を出そうとして、声帯ポリープなどの症状に発展することがあります。
声が出にくい人は、呼吸の弱さから来ている内容で書いた記事が、喉に詰まった感じで声が出にくい症状の考え方|声が届かず相手に聞き返される屈辱感です。また参考に見ておいてください。
第10脳神経:迷走神経
起始部ー停止部
疑核(運動神経成分)ー軟口蓋・咽頭・喉頭の筋
孤束核(感覚神経成分)←胸腹部の内臓・大動脈洞など
迷走神経背側核(副交感神経)ー消化管・気管の平滑筋と腺・心筋
位置:延髄
頸静脈孔を通過する
迷走神経は、胸腹部の臓器に広く分布する副交感神経成分以外に、咽頭、喉頭の筋の運動や咽頭〜胸腹部の内臓を感覚をコントロールします。
迷走神経の運動神経成分は、口腔の奥の軟口蓋、咽頭や喉頭を食物や唾液を飲むときに運動させる機能を持ちます。
錠剤状の薬を飲むときに水と一緒に飲もうとする際に、意識的に飲み込みます。
その状況で、迷走神経運動神経線維が活動的となります。
日常的に摂食や飲み物を飲むときに、迷走神経運動線維は、軟口蓋、咽頭、喉頭の筋肉を動かし、嚥下をスムーズにさせてくれます。
迷走神経に障害がある評価は、大きな口を開けて「アー」と声を出します。
そのときの軟口蓋と咽頭の運動を確認します。(舌咽神経と同じことを書いています)
「アー」と声を出したときに、障害側の軟口蓋は挙上せず、落ちています。
迷走神経が機能すると声を出したら、軟口蓋が挙上し、声を響かせます。
迷走神経の障害側では、喉ちんこである口蓋垂が健側に偏位しています。
これらを確認すると、迷走神経の障害の確認できる上に、舌咽神経の機能性の確認もできます。
迷走神経の一部は、胸部を下行してから血管の下側を回り、再び上行します。
この神経を反回神経といい、気管、食道、心臓に枝を出したあと、咽頭下部の粘膜や内咽頭筋に分布します。
そこから声帯をコントロールします。反回神経に障害が起きると、声のかすれなどの声が出にくい症状が現れてきます。
反回神経は、胸部の中心を通るため、気管や血管などの構造が反回神経の位置に非対称です。
左側は大動脈弓、右は右鎖骨下動脈を前から後ろに通ります。
左側の反回神経が右側よりも走行が長いので障害が起こりやすいです。
反回神経の障害によって、嗄声(させい)、誤嚥(ごえん)、呼吸困難の症状が出てきます。
反回神経の障害の理由は、胸部から下行しそこから左右の臓器を分けて上行します。
この長い枝の経路の周囲の器官に腫瘍が大きくなって神経を圧迫したり、病気で手術をして神経に一部を切断したケースで起こります。
反回神経の周囲にある器官は、肺、食道、甲状線などです。
これらの器官に病気ができると反回神経の障害になってしまう可能性があるのです。
反回神経障害となる周囲の器官
- 甲状線
- 食道
- 肺・気管・気管支
- 胸部大動脈
- 縦隔(左右の肺によって挟まれた真ん中の部分)
第11脳神経;副神経
起始ー停止
副神経核(運動神経成分)ー胸鎖乳突筋・僧帽筋
位置:延髄
頸髄から出て大後頭孔を通過し、延髄の他の脳神経と交わり頸静脈孔を通過
副神経は、胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配する運動神経線維です。
副神経は他の脳神経とは違い構造が特徴的です。
例外的に、副神経は頸髄から神経が出て、大後頭孔を通過し、延髄から出る副神経と交わります。
このような構造だと、脳神経とは言わず、頸髄神経と言えますが、延髄からも神経が出ているので、脳神経に含めています。
胸鎖乳突筋と僧帽筋の2つの筋肉を支配するので、脊髄神経と同じ作用です。
ただ、副神経は延髄から出て、迷走神経と交わる線維があります。
迷走神経と同じ作用にも機能をもつので、口腔から咽頭の運動を起こします。
よって、副神経は迷走神経の一部と見なされ副神経を脳神経から外す医学的視点もあります。
私の経験では、副神経の機能低下での多くの症例を知っています。
一番分かりやすいのが、運動神経線維が支配する胸鎖乳突筋と僧帽筋の収縮の低下です。
脳神経に起きている障害や機能低下を特定するには脳神経外科で受診してもらう必要があります。
脳のCT、MRIなどの高度医療検査機器を使用して脳神経の障害を見つけることです。
中枢である脳細胞の病変が脳血管障害で起きているのが、高度医療検査機器で分かります。
ただ、末梢神経である脳神経の障害や機能低下は頭頚部に表出する症状から分析するしかありません。
そこで副神経の障害や機能低下は意識的に動かせる胸鎖乳突筋と僧帽筋だから特定しやすいのです。
副神経で胸鎖乳突筋と僧帽筋の筋肉の形状や筋肉の出力を確認し陽性だたしたら、副神経だけでなく迷走神経の問題も疑うことができます。
よって、副神経が運動神経線維を伸ばす筋肉を確認するだけで脳神経の状態を知ることができます。
胸鎖乳突筋と僧帽筋の確認する方法を解説します。
胸鎖乳突筋は側方を向いてもらい、向いている方の下顎に手を当て、そこを逆らうように押してもらいます。
このとき、向いていない方の胸鎖乳突筋が収縮します。
押してもらいながら、筋肉が収縮していないかを確認します。
胸鎖乳突筋が収縮せず、筋肉に萎縮があるなら、副神経の障害か機能低下を疑います。
僧帽筋は肩に手を置き、両手で肩を押し、その力に抵抗してあげてもらいます。
副神経に障害や機能低下があるなら、肩を持ち上げられず、力が抜けます。
副神経は一側性障害が起こりやすいです。
両側性障害は、ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症すると、両側の僧帽筋に麻痺が出ることがあります。
多くのケースでは、副神経の一側性障害です。
障害側と同じ側に僧帽筋に筋萎縮が起こり、肩の位置が少し下がります
同様に、胸鎖乳突筋は右に頭部を動かせなくなり、日常生活に支障が出ます。
障害側のモノを取りたいと思っても、すぐに頭部がその方向に向けません。
頭部が動かないため、代償として眼球運動を過度に入れるか、頭頚部を回旋でなく、屈曲と側屈を入れて対応する運動が見られます。
首を寝違えて首がある方向の上が向けなくなる症状があります。
寝違えで首の筋肉の過緊張か頚椎の椎間関節に偏位が症状になりやすいのですが、実はそれまで隠されていた副神経の障害だったりします。
寝違えで首が回旋しなくなるのは、慢性肩コリを引き起こす胸椎や頚椎のアライメント不良から副神経の障害を作っています。
他には同じ肩に重い荷物をのせて、無理に首を回旋させるなどで副神経を過伸展し損傷という症例もあるんです。
第12脳神経:舌下神経
起始部ー停止部
・舌下神経核(運動神経成分)ー舌筋(オトガイ舌筋・舌骨舌筋など)
位置:延髄
大後頭孔を通過します
舌下神経は舌筋を支配し、舌の運動をコントロールする純粋な運動神経です。
舌下神経は副神経と同じく脊髄神経と扱う医学的視点もあります。
副神経が意識的に動かせる随意運動する胸鎖乳突筋と僧帽筋を支配するように、舌下神経は舌筋に運動神経線維を送っています。
舌下神経が正常にコントロールしていると、舌をまっすぐ出せます。
しかし、舌下神経に障害があると、舌を出せないか出せても片側に偏位します。
舌下神経が中枢から下行する神経に障害がある場合と中枢は問題なく舌下神経核から舌筋の間に障害がある場合があります。
その違いを確認できるのは、大きく口を開けてもらい舌の萎縮があるのかどうかです。
舌の萎縮とは、舌に膨隆感がなく、偏平で薄く、しわが多い状態です。
または、線維束性収縮と言って、舌に細かい震えが出ているかを確認します。
舌の萎縮と線維束性収縮がなければ、正常か中枢で起こる障害の可能性です。
舌の萎縮と線維束性収縮があれば、舌下神経核から舌筋までの障害です。
舌をまっすぐに出せるかどうかの確認は、中枢性も末梢性も同じです。
舌を支配する脳神経には、舌下神経と舌咽神経と三叉神経、顔面神経も行なっていました。
舌の運動は舌下神経、舌の前2/3の温痛覚、触覚は三叉神経、舌の後ろ1/3の温痛覚、触覚は舌咽神経、さらに味覚では舌の後ろは舌咽神経で、舌の前は顔面神経が支配します。
運動の確認、感覚の確認、味覚の確認を丁寧に行なうほど舌に関わる脳神経の障害や機能低下の発見ができるようになります。
より正確な確認ができるほど、そこからの改善アプローチも合理性と整合性の取れますので、改善も早くなります。
まとめ:
この記事では頭部や頚部の運動、感覚、自律神経の副交感神経をコントロールする脳神経について見ていきました。
脳神経は、左右12対あって、脳幹の橋(きょう)と延髄(えんずい)と言う脳の下位に神経線維の終止起点があります。
脊髄神経は脳より下位の第1頚椎から分岐する第1頸髄から骨盤内の第5仙髄と馬尾神経まで31対は皮膚や筋肉、関節の末梢神経に伝達します。脊髄神経は、組織の表層への連絡が中心ですが、脳神経は内臓や自律神経にも連絡するのが大きな違いです。
- 脳神経:中脳・橋・延髄を起始部とする神経線維
- 脊髄神経:脊髄を起始部とする神経線維
脳神経と脊髄神経は末梢神経系とされ、効果器や受容器に神経伝達をして、さまざまな行為を目的とした行動の実現につながります。
脳神経は12対ありますが、それぞれ微妙に働きの違いがあります。
脳神経には神経線維の働きに合った名称がついているのと、神経が出ている位置が上位から下位に向かって1〜12と数字で区分されています。
- 嗅神経(Ⅰ)
- 視神経(Ⅱ)
- 動眼神経(Ⅲ)
- 滑車神経(Ⅳ)
- 三叉神経(Ⅴ)
- 外転神経(Ⅵ)
- 顔面神経(Ⅶ)
- 内耳神経(Ⅷ)
- 舌咽神経(Ⅸ)
- 迷走神経(Ⅹ)
- 副神経(Ⅺ)
- 舌下神経(Ⅻ)
そして1〜12の脳神経の働きをまとめて書いておきます。
- 嗅神経(Ⅰ):視覚
- 視神経(Ⅱ):嗅覚
- 動眼神経(Ⅲ):眼球運動(→外眼筋・瞳孔括約筋・毛様体筋)
- 滑車神経(Ⅳ):上斜筋
- 三叉神経(Ⅴ):顔面・鼻・口・歯の知覚・咀嚼運動
- 外転神経(Ⅵ):外側直筋
- 顔面神経(Ⅶ):表情筋・舌前2/3の知覚・涙腺・唾液腺の分泌
- 内耳神経(Ⅷ):聴覚・平衡覚
- 舌咽神経(Ⅸ):舌後1/3の知覚・味覚・唾液腺の分泌
- 迷走神経(Ⅹ):頭部・頚部・胸部・腹部の内臓知覚・運動・分泌
- 副神経(Ⅺ):僧帽筋・胸鎖乳突筋
- 舌下神経(Ⅻ):舌筋の運動
脳神経の働きの特徴は、感覚だけを担当する神経、運動だけを担当する神経、感覚と運動の両方を担当する神経とがあります。
嗅神経、視神経、内耳神経は感覚だけの働き。
滑車神経、外転神経、副神経、舌下神経は運動だけをの働き。
動眼神経、三叉神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経は感覚、運動、自律神経の働きを行なっています。
あなたが生きている空間環境で知覚した目から入る視覚情報は、第2脳神経の視神経が働きを関与します。
食事をするときにお肉を焼いた美味しい匂いは、第1脳神経の嗅神経が反応し、脳内の終止点まで伝達し情報を総合化します。
迷走神経は、脳神経の中で一番神経線維が長く、味覚を始め、腸の運動を促す運動神経も行ないますし、腸管の情報を脳内に情報を伝達する感覚神経の役割もします。
他の働きでは、自律神経のコントロールも行える脳神経もあります。
動眼神経、顔面神経、舌咽神経、迷走神経は副交感神経から伝達することができます。
例えば、動眼神経においては、瞳孔括約筋に反応を促す副交感神経の伝達をします。
眼球を機能させ外界から受ける情報を知覚するために、瞳孔を収縮させるのは動眼神経の働きなのです。
脊髄神経との大きな違いは、脳神経は特定の働きが限定されて決まってることです。
その構造により脳神経に何か障害だ発生すると機能低下する部位と障害部位が特定しやすいです。
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